冬の入り口"朔風払葉の候" 樹木ウオッチング(1)「クヌギ」
11月も末になったが、寒暖は行きつ戻りつ、季節は今一つはっきりしない。予報通りに暖冬ということなのだろうか。72候によれば、小雪次候(11/27~12/1)は"朔風払葉"の候。その名の通り北風に吹き払われた木々の黄色い落ち葉が散歩道をすっかり埋めている。
散歩コースに、白っぽい幹がすらりと伸びてよく目立つ高木の群生がある。黄色く色づき始めていて、落葉広葉樹と思われるが、葉がまだ多く残っている。
付近ではよく見かけるとても美しい樹木だ。
名前は知らないので帰って調べることにして、幹の写真と葉と実のサンプルを持ち帰えった。
以下の特徴が一致して、樹木の名は「クヌギ」と判明した。;
樹高:15-20m。
葉:互生、長楕円形。鋭い鋸歯。薄く硬い。表面にはつやがある。
樹皮:暗い灰褐色。厚くコルク状で縦に割れ目が出来る。
実:ドングリの仲間。直径が約2cmと大きく、ほぼ球形。椀型の殻斗につつまれている。殻斗の回りに細く尖って反り返った棘状の鱗片がある。
新緑・紅葉が美しい。紅葉後に完全な枯葉になっても枝からなかなか落ちず、2月くらいまで枝についていることがある(quote-wiki)。
子供の頃を過ごした黒部市に椚町(くぬぎちょう)という地名があった。
それで、「クヌギ」という名前自体は、とても親しみ深いものだった。
ただ、それがどんな木なのかは、知らないままでいたが、今回、たまたまそれを知ることになった。
椚町は「クヌギ」にどんなゆかりがあるのだろう。実際にその木があったという記憶はない。調べていると;
市のHPの市指定文化財[天然記念物]の解説記事に、「椚町」に触れて、「町名の「椚町」は、この地域一帯の平野部が、「クヌギ」などの樹木からできた暖温帯性の落葉樹林であったことを物語っている」との記述を見つけた。その町名は落葉樹林の木々に囲まれた遠い昔の故郷の姿を伝えているのだろうか。