残照身辺雑記

日々の出来ごとや感じたことなどのあれこれを記録します。

みうらじゅん著「マイ仏教」感想 「じぶん念仏」と「幸せな走馬燈」作りは如何ですか?

先日、"みうらじゅん最後の講義"というNHK BSのドキュメンタリー番組を見ました。たまたまの視聴だったのですが、思いがけず素晴らしい内容で、ラッキーでした。それで氏の著書「マイ仏教」を読むことにした。

番組"最後の講義"は、各界の著名人が"最後に言い残したいこと"をテーマに、いわば"最終講義として"蘊蓄を傾けるという番組です。不定期の放送なので、たまたまの視聴になることが多いです。

出演者の「みうらじゅん」さんは、名前は知っていたが、どんな人かは全く知らなかったので、それだけに話の内容は、印象的なものでした。以下講義の概要です;

「最後の講義」は各界の権威が英智の全てを注ぐ特別授業。今回登壇は「マイブーム」「ゆるキャラ」の生みの親、みうらじゅんさん。“サブカル界の帝王”。既存の枠を超えた活躍の真相。還暦のみうらさんが構想1年、満を持して語る“みうら流幸せのあり方”。明かされる“みうらじゅん”誕生の秘密、「自分なくし」「人間は死ぬんだって」「仏道」そして「走馬灯」。爆笑の中に驚きと感動が!みうらさんが目指す“人生の最後”とは?(NHK BSのドキュメンタリー”最後の講義”HPより)

少し補足すると、子供の頃の「マイブーム」”仏像マニア”から始まって、現在に至る、みうらさんの自分史が語られます。個性的でありたいという願いや、仏教に教えられた生き方、何ごとにおいても自分らしさを追求する姿が伝わってきました。

「知ってます?気がついてます?人は死ぬんだってよ」 との問いかけから始まって、「空(くう)とはなに?」、「自分探しではなくて⇒”じぶんなくし”」のすすめ、「個性的であるとは?・・」等々、そして最後は、幸せな死に方の処方箋として「”走馬燈”論」が披露されます。ユニーク、且つ、深い、仏教の教えに対する理解と実践。それらが、自らが「マイ仏教」と名付ける、みうらさんの仏教論と受け取りました。

みうらさんの仏教は、根本は浄土宗(と勝手に判断? ご本人は述べられていません)。北陸の浄土真宗の風土の中で育った私には、親和性の高い講義でした。

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みうらさんに「マイ仏教」という著書があることを知って読むことにしました。

仏教感が、単刀直入に、独創的な理解が、自らの言葉で語られるだろうと考えたからです。

この歳になって、考えが違う本、まだるこっしい本、中身が消化できない本は読みたくないです。

自分を肯定してくれる本、納得できる本、好奇心を満たしてくれる本、そんな本に出合えれば、人は幸せになれるでしょう。「マイ仏教」はそんな本でした。

"仏教の教えが、常に考え方の基本にあった。人生で大切なことは全て仏教が教えてくれた"と語る著者が到達した境地が「マイ仏教」。仏教に対する独自の理解や実践が、分かりやすく、実用的に語られています。それだけでなく、仏教の基本的な教義が、簡潔に、わかりやすく収められています。仏教の超訳入門書でもあります。

「マイ仏教」には、悟り?あるいは教義?ともいうべき、生きる上での様々な、心のあり方が提唱されています。その中から特に印象深い二つを紹介します。

一つは「じぶんだけの念仏」を持つことのすすめです。著者の自分念仏は「そこがいいんじゃない!」だそうです。「南無阿弥陀無仏」と唱えるのと同じで、困難や苦痛に遭遇した時に「そこがいいんじゃない!」と唱える。すると、事態を受け容れ、それを乗り越える不思議なパワーが与えられるそうです。効き目がありそうですね。自分だけの念仏を探してみたら如何でしょう。

もう一つは、テレビの講義でとても印象深かった「走馬燈」のことです。死に際に見るという、自らの人生の様々な情景が脳裏に現れては過ぎ去っていく「走馬灯」。「幸せな死」を迎える秘訣は、美しい 幸せな「走馬灯」を見ることではないか、そのための不断の心構えが大切ではないか、との話です。「走馬灯」の窓枠にはめ込むための、美しいショット、幸せなショットを、日ごろから準備したら如何でしょうか?幸せな死が迎えられるでしょう。