残照身辺雑記

日々の出来ごとや感じたことなどのあれこれを記録します。

ひばりの初鳴日 生物季節観測と七十二候

ウオーキングに出かけるいつもの公園でひばりのさえずりを聞いた。今年初めてのことだ。寒さが2,3日続いたが、今日からは暖かさが戻るという。それを知っていたf:id:afterglow0315:20180324133434p:plainかのように高く舞い上がって、元気に春を告げている。

「うぐいすの初鳴き」とはよく聞くが、「ひばりの初鳴き」という言い方はあるのだろうか?調べてみると、気象庁が行っている”生物季節観測”に「ひばりの初鳴日」が観測対象になっていることが分かった!

”生物季節観測”は、1947年の国際気象会議(於ワシントン)の勧告に基づいて、1953年1月に中央気象台が制定した『生物季節観測指針』(現在は1985年第3版)に基づいて行われているとのことだ。

植物12種、動物11種について、開花日、満開日、紅葉日、発芽日、落葉日、初鳴日、初見日を、各地の気象台が観測するもので、季節の遅れ・進みの具合、気候の違いなどの把握や、生活情報としての利用などを目的に行なわれている。

身近な動植物が対象になっているが、変わったものでは「トカゲの初見日」、やや意外なのは「ひばりの初鳴日」だろう。気象台によっては地域独自の観測種が追加されている。観測の結果はリアルタイムで公開・更新が行われている。

「ひばりの初鳴日」の最新データは、2018.3.23.下関地方気象台松江地方気象台、2018.3.20.新潟地方気象台、2018.3.19.京都地方気象台となっている。当地のひばりも季節は判っていて、よそ並みに鳴き始めてくれたことになる。

生物季節観測は生物の動きを観測して季節を知るというものだが、これとは対照的に、暦で季節を知ろうというものもある。良く知られる二十四節季は代表的なものだが、七十二候という季節暦があることを知った。

七十二候暦では、二十四節季をさらに初候・次候・末候に細分して、1年を二十四節季×3、即ち、七十二候で表すとするもので、一候が365÷72=5日になる。候の名前には、気象の動きや動植物の変化を知らせる短文が当てられている。

今の時期の春分でいえば、春分初候は3月21日から25日で雀始巣(すずめはじめてすくう=雀が巣を構え始める)、春分次候は3月26日から30日で 桜始開(さくらはじめてひらく= 桜の花が咲き始める)、春分末候は4月1日から5日で 雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす= 遠くで雷の音がし始める )とされてる。

公園のひばりは、七十二候にいう春分初候=雀始巣 にピッタリと合わせるように、縄張り宣言をして、巣作りを始めたことになる。季節暦と自然の営みが重なり合う確かさに感心させられる。尤も暦の方は雲雀でなくて雀だが・・似たようなものとしよう?

上空のひばりの方は、ひとしきり激しくさえずると急に静かになって、縄張り宣言はもう充分とばかりに、真直ぐに急降下して、近くの草むらに消えた。ひばりの生活場所は、えさ取り、巣作り、子育てなど、ほとんどが地上の草むらの中で、空に舞い上がるのは巣作りの縄張りを主張するときぐらいという。

公園の周辺は、広々していて草地が多いので、ひばりには適地らしく、寒い時期以外は、よく見かける。しかし地上で行うという巣作りや子育てを目撃したことはない。見つからないようにと願うが、自然の配慮は十分らしく、その心配は無用らしい。