残照身辺雑記

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ノーベル賞の季節がやってきた 受賞者続出中!絶好調の日本のゆくえは?

今年のノーベル賞の受賞者の発表が来週に迫った。関心の高い自然科学3賞は、7日に生理学医学賞、8日に物理学賞、9日に化学賞が発表される。この時期、受賞者の予想など色々と騒がしい。2年連続の日本人の受賞はあるのだろうか。

近年の論調には、この先、我が国ノーベル賞受賞者数の先細りを懸念するものが多い。基礎研究離れや論文数の減少、研究環境の劣悪さなどを指摘して、先行きを悲観する。ノーベル賞受賞者の方々も、基礎研究への資源投入の不足についての懸念をコメントされることが多い。

実際の日本人のノーベル賞受賞者の数はどうなのだろう。自然科学3賞の受賞者数を出生国別に纏めると次のようになる。(出所)社会実情データ図録を数表に加工。

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この表を見る限り日本の受賞者数の将来についての懸念は見当たらない。日本(及びイスラエル)は、近年、アメリカなど西欧諸国に比べて、圧倒的に受賞者を増加させているのだ。将来を不安視するのであれば、その前に、先ずは現在の受賞ラッシュを分析してその理由を解明しないといけないであろう。

興味深い分析がある。「社会実情データ図録▽日本人ノーベル受賞者23名の出身校・出身大学」(図表略)によると、出身高校は、ほとんどが、地方の県立高校であり、私立は2名のみであり、東京の高校は1名のみ。東大合格者ランキングの上位に顔を出すような高校出身者はまったくいない。

出身大学については、私立大学出身者が一人もおらず、すべて、国立大学出身者である。国立大学の中でも、当初は、京都大、東京大が多かったが、近年では、地方の国立大学出身も増えている。各界に人材を輩出している慶應、早稲田といった有名私立大はノーベル賞には無縁の世界となっている。

"都会ずれせず、地方で思いを凝らし続けた高校生でないとノーベル賞にまでは達しないようだ""受験競争に勝ち抜くというパターンからは、やや、ベクトルのずれた方向の先にノーベル賞があるようだ"とは図録の編纂者の言。私の蛇足を加えると"普通の人"が十分受賞者なりうるし、"特別な人"である必要はなく、全ての研究者に受賞の可能性は開かれているということになる。しかしこのような受賞者の人物像は時代と共に変わっていくのだろうか。

いずれにしても、優れた成果を得るためには、優れた課題に巡り合い、解決に導く優れた着想に恵まれなければならない。そのようなことが起こるためにはどうしたらいいのか?課題と着想についての方法論はあるのだろうか?

受賞者の方々はその幸運の瞬間に出会った方々である。その瞬間の方法論を学ばなければならない。もしかしたらいろんな場面でそれを開示されているのかもしれない。

 

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